【9月30日 CNS】「ラストエンペラー」として知られる、清朝皇帝の溥儀(Pu Yi)研究院が、中国・長春市(Changchun)に設立され、偽満州傀儡政権皇宮博物館院長を務める王志強(Wang Zhiqiang)氏が研究院長に就任した。同研究院は、「ラストエンペラー」の一生を研究することを通じて、中国近代社会の変遷を展示するのが目的だ。

 故宮博物院(The Palace Museum)、中国第一歴史档案館、中国社会科学院、清朝宮廷史研究会、第二次世界大戦博物館など100以上の科学研究機関や公文書館の専門家、学者らが溥儀研究院の設立に立ち会った。

 愛新覚羅・溥儀は、中国歴史上の最後の皇帝。1908年にわずか3歳で即位し、清の宣統皇帝(Xuantong Emperor)となった。4年後の1912年には退位を発表し、中国2000年以上の皇帝制時代にピリオドを打った。「9・18」事変(満州事変)後、日本の後ろ盾を得た溥儀は、中国東北部を満州国として建国。首都を長春市(当時の「新京特別市」)とし、傀儡政権下の皇帝となって日本の中国大陸進出の道具とされた。

 中華人民共和国成立後、「平民」となった溥儀は、中国人民政治協商会議全国委員会(CPPCC)委員になった。

 国家清史編纂委員会の朱誠(Zhu Cheng)副主任は、「溥儀は特殊な歴史人物。時代の産物であり、非常に研究に値する」と語った。

 溥儀研究院の王院長は、「溥儀研究院は溥儀とその時代の研究のために築いた、参加型学術機関。これを通じて溥儀研究について協力していきたい」と語った。

 「『溥儀とその時代』は、『溥儀の時代』でもなければ、一般的な歴史の終えんでもない。時代を通り抜けて、1人の特殊な人物の運命を通して、中国近代史、中国近代化の歴史物語とつながっている」。王院長は強調した。(c)東方新報/AFPBB News