【9月21日 AFP】地球に迫る小惑星の進路をそらし、衝突の大惨事を回避するというハリウッド映画『アルマゲドン(Armageddon)』にも似た未来的な国際協力プロジェクト「Asteroid Impact & Deflection AssessmentAIDA」計画。その予行演習として進められている試験的なミッションから撤退を決めた欧州に対し、宇宙科学者らは20日、撤退の決定を見直すよう強く訴えた。

 宇宙科学者らは、宇宙から飛来する天体から地球を守るための能力を開発する上で、このAIDA計画は不可欠と指摘している。

 米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)応用物理学研究所(Applied Physics Laboratory)のアンドリュー・チェン(Andrew Cheng)氏は、ラトビアの首都リガ(Riga)で開催中の欧州惑星科学会議(European Planetary Science Congress)でAFPの取材に応じ、天体衝突について「恐るべき大惨事となりかねない類いの災害」と語った。

 チェン氏は、AIDA計画で米国側が進める「Double Asteroid Redirection TestDART(二重小惑星進路変更実験)」計画の担当科学者だ。すでに計画の承認を受けたDARTは、最終確認を得るための「フェーズB」段階に入っている。

 DARTでは、遠方の小惑星「ディディモス(Didymos)」の進路を変えるために、その小型の周回衛星に宇宙機を衝突させる計画を立てている。これは科学史上初の試みだ。

 欧州側が担当するのは、宇宙機の衝突とその影響を観測するための小型探査機を衝突地点近くに送り込む「Asteroid Impact MissionAIM」プロジェクト。だが、欧州の宇宙担当閣僚らが2016年12月に2億5000万ユーロ(約330億円)の予算申請を却下したため、AIMプロジェクトは撤退を余儀なくされた。