【9月14日 AFP】「チョコレート工場の秘密(Charlie and the Chocolate Factory)」の主人公は黒人の少年だった──。英児童作家、故ロアルド・ダール(Roald Dahl)の名作について、ダールの妻のリシー(Liccy Dahl)さんが13日、そんな裏話を英BBCに明かした。伝記作家によると、エージェント側から「待った」がかかり結局白人に変更されたという。

「彼(ダール)が書いた最初のチャーリー(・バケット、Charlie Bucket)は黒人の少年だったんです。米国に影響を受けたのに違いありません」。リシーさんはBBCのラジオ4(Radio 4)にそう語った。

 チャーリーがウィリー・ウォンカ(Willy Wonka)工場長所有のチョコレート工場で冒険するこの児童小説は1964年に出版され、今では55言語に翻訳されている。 

 ダールの伝記を書いたドナルド・スタロック(Donald Sturrock)氏によると、ダールのエージェントが黒人を主人公にするのは「まずい」と考えたという。

 リシーさんはチャーリーを黒人少年として書かないという最終判断は「とても残念」だったとし、作品が改訂されれば亡き夫の遺志をくみ取ることにもなり「素晴らしい」とも話している。

 ダールの作品は多くが映画化されており、「チョコレート工場の秘密」も1971年に『夢のチョコレート工場(Willy Wonka & the Chocolate Factory)』として公開された。

 しかしリシーさんによると、米俳優のジーン・ワイルダー(Gene Wilder)がウォンカ工場長を演じた映画版に、ダールは「あまり感心していなかった」という。

 作品は2005年にもティム・バートン(Tim Burton)監督の『チャーリーとチョコレート工場(Charlie and the Chocolate Factory)』として映画化され、ウォンカ工場長役は米俳優ジョニー・デップ(Johnny Depp)が務めた。(c)AFP