【9月7日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)、シアトル・シーホークス(Seattle Seahawks)のスター選手であるマイケル・ベネット(Michael Bennett)が6日、先月行われたボクシングのフロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr.、米国)とコナー・マクレガー(Conor McGregor、アイルランド)の試合後に発生した発砲事件で、ラスベガス(Las Vegas)の地元警察から人種差別と過度の実力行使を受けたと訴えた。

 ベネットは自身のツイッター(Twitter)に「平等」と題した声明を発表し、先月26日に行われた試合の後、発砲音を聞いて恐れた観客が一斉に逃げた際に警察から拘束されたとして、そのときの様子を克明に記した。

 試合前の国歌演奏で警察の横暴に抗議を示し、現在フリーエージェント(FA)となっているQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)の支援を表明しているベネットは、警察のターゲットにされたのは人種が理由だったとして、「周辺にいた大勢の人と同じように、俺は音を聞いて安全のために逃げ出した。ラスベガスの警官は、間の悪いときに間の悪い場所に居合わせた黒人というだけで、俺に狙いを定めて銃を突きつけた」と述べた。

 声明によれば、ベネットが指示に従って地面に伏せたあと、その警官は同選手の頭に銃を突き付けて、「いまいましい頭を吹き飛ばすぞ」と警告したとされている。ベネットはそのとき、「起きていることに震え上がり混乱した。2人目の警官がやってきて、俺の背中を無理やり膝で抑えて息ができないようにした。それから彼らは俺の手首にきつく手錠をはめた。指がしびれるほどだった」と訴えた。

■「俺は死ぬんだ」

 ベネットは事件の際に死の恐怖に直面したとして、「頭の中をよぎったのは、『黒人で肌の色が脅威になるというだけの理由で、俺は死ぬんだ』ということだけだった」とつづった。そして警察が、「明らかに俺が悪党でなく、常習犯や普通の黒人でもなく、有名なアメフト選手のマイケル・ベネットだと分かってから」自分を釈放したと述べた。

 この事件を受けて「この国には平等が存在していない」として、ベネットは国歌演奏の際に膝をつく決意をさらに強くしたと語った。

 ラスベガス市警察(Las Vegas Metropolitan Police DepartmentLVMPD)の郡保安官代理は同日の記者会見で、ベネットが訴えた人種差別について否定しており、「今回の事件で人種問題が関係していた証拠は何もない」とした上で現在内部調査が行われていることを認めた。

 ラスベガス警察では、ボディーカメラの着用が義務づけられているものの、ベネットを拘束した警官はスイッチを入れておらず、同保安官代理は、「理由については分からないが、それも捜査されることになる」と述べた。(c)AFP