驚くほど低コスト

 警察の発表によると、今回の事件で逮捕された呉容疑者は湖南益陽市出身。2年前から偽のダイエット薬をインターネットで販売し、不当な利益を得ていた疑い。供述によると、呉容疑者は広東省(Guangdong)や浙江省(Zhejiang)からカプセルの充てん機、内容物、カプセルやシブトラミン(Sibutramine)をそれぞれ購入し、製造した。「販売にあたっては、シブトラミンを添加してあると伝えている。シブトラミンが有毒で、偽のダイエット薬の製造が違法なのも知っていた」と供述しているという。

 婁底市食品薬品監督管理局の侯迪凡(Hou Difan)局長によると、シブトラミンは一種の中枢神経抑制剤で、食欲を抑え、興奮作用がある。高血圧のほか、心拍数を速め、拒食、不眠、肝機能障害など人体に深刻な危害を及ぼす恐れがある。中国は2010年、シブトラミンとそれを原料とする薬の国内生産、販売、使用を中止し、ダイエット製品の不法添加物であると定めた。

 侯局長によると、呉容疑者が製造した「偽ダイエット薬」の生産コストは、1粒で約1角(約1円60銭)以下で、3角~5角(約5~8円)で販売した」と供述しているという。1日の販売量は数万粒にも及び、最も多い時は1日10万粒近く売れ、売り上げ3万元(約49万円)にも上ったという。

■インターネットで販売

 今回逮捕された犯罪グループのうち、最も若い張容疑者が金もうけ全般を担当していた。張容疑者は「違法ダイエット薬」をビジネス向けウィーチャット(WeChat)アプリ「微商(Weishang)」で「販売店」を立ち上げ、「偽ダイエット薬」を中国全土へと流通させた。

 張容疑者は呉容疑者から「偽ダイエット薬」を仕入れ、メーカーに設計図を提供して包装箱を作らせ、購入したカプセルで自分で包装した。彼は自ら10以上の「ブランド」をデザインし、偽造防止ロゴまでこしらえた。QRコードをスキャンして表示された商品は、靴の中敷だった。張容疑者が製造・販売した製品は、同じ製品でも包装箱に書かれた文字のフォントサイズが異なり、誤字だらけ。箱と薬びんに印字されている消費期限さえも違う。

 供述によると、張容疑者は2016年6月、「淘宝網(Taobao)」で販売を行ったが、商品名や商品詳細に法的に問題のある用語を使ったため、すぐに撤去された。淘宝網での検索順位を便利にするために商品名を絶えず変更したが、その都度撤去されたという。

 現在、警察は全力を挙げて市場への流入状況を追跡している。(c)東方新報/AFPBB News