【9月8日 CNS】中国・湖北省(Hubei)孝感市(Xiaogan)の小学生の女の子、胡可(Hu Ke)ちゃん(8)が病気でこの世を去った。家族は娘の臓器提供に同意し、3人の命を長らえさせた。8月28日に胡可ちゃんの2つの腎臓は2人の尿毒症患者に移植され、肝臓は肝硬変患者を救った。

 胡可ちゃんは8月23日に突然、激しい頭痛と吐き気に襲われた。地元の病院で検査を受けたところ、奇形の血管が破裂したことが原因で脳内に大出血を引き起こしたことが判明。手術が行われたものの、病状の進行が速く、術後に重度の水頭症とほかの脳血管からの出血もみられ、間もなく昏睡状態に陥った。

「胡可ちゃんの臓器を提供して、ほかの患者さんを助けてもらうことはできますか」。胡可ちゃんの病状がすでに制御できない状態にあると判断した医師は、胡可ちゃんの両親にたずねた。それまで妹のそばにずっと付き添っていた兄の胡琪(Hu Qi)君は、両親に同意するよう提案した。

 胡琪君自身も、慢性的な血小板減少性紫斑病の患者でもある。闘病は10年以上におよび、病気を患う苦しみを理解している。「妹が無意味にこの世から離れてしまうよりは、身体の一部分がこの世で生き続けてくれることで心のよりどころになるし、妹やほかの病気に苦しむ人の『命の継続』にもなる」と話す。

 発症から2日が過ぎた25日、胡可ちゃんの病状が悪化し、呼吸器による生命維持に頼らざるを得なくなった。胡琪君と両親は武漢大学人民医院臓器献体コーディネーターの姚笛(Yao Di)さんに連絡し、臓器提供の意思を示した。その後、胡可ちゃんは同大学病院の集中治療室へと移送された。

 28日正午、胡可ちゃんの家族は臓器提供の同意書と関連の法律文書に署名をし、娘の2つの腎臓と肝臓を無償で提供することに正式に同意。同日午後、胡可ちゃんの呼吸停止後に臓器が提供された。

「肉親がこのような形で『生き続ける』ありようは、はひとつの大きな愛である」。同病院臓器移植科の周江橋(Zhou Jiangqiao)主任の紹介によると、臓器提供の理念は徐々に普及し始めており、臓器提供事例は増えてきている。2017年上半期のみで、同病院はすでに累計で56例の臓器移植案件を受理しており、100人以上の患者に対して移植手術が行われている。(c)CNS/JCM/AFPBB News