【9月7日 東方新報】これからは「顔」が身分証明書になる時代だ。「顔」で汽車や飛行機に乗り、「顔」で食事をする日が来たのだ。

「顔」さえあれば、たいていのことができてしまう日がこんなに早く来るとは、誰が予想しただろうか。8月27日、中国・湖北省(Hubei)武漢(Wuhan)駅が、顔認証改札を導入した。すらりとした女性駅員や、キリリとした男性駅員たちに別れを告げなければならない日が来てしまった。

 武漢駅によると、32台の顔認証改札を全面的に起用し、従来の改札は10台しか残らない。顔認証改札は3秒程度で通過できる。改札口を通過する際、身分証明書を読み取り機にかざしてモニターを見るだけで、瞬時に改札が開く。すべての改札は無人となる。

 90%の利用客が顔認証改札を通過し、厚化粧の女性も心配いらない高性能の顔認証システムが、正確に判別してくれる。

 驚くべきことは、この改札システムは公安局と連動しており、列車に乗って逃走を図る犯罪者が顔認証改札を通過しようとすると、改札をロックすると同時に自動的に通報する。

 空港ももちろん、遅れを取ってはいない。8月26日、中国最大の空港である北京首都国際空港(Beijing Capital International Airport)は中国最大のサーチエンジンを運営する百度(Baidu)との全面的な提携関係を結び、顔認証システムの導入を発表した。

 顔認証による搭乗手続きを試験的に始めており、身分証明証と搭乗券はもう必要なくなるのだ。

 百度の李彦宏(Robin Li)CEOは、「近い将来、空港の安全検査や搭乗ゲートも顔認証で通過できるようになる。『顔』ひとつで身分証明書と搭乗券の代わりになるのだ」と話した。

 近年では、どこに行っても携帯電話でQRコードをスキャンすれば済むようになった。しかしいずれ、携帯電話も顔認証に取って代わられる時代に入るのだ。

「お金は持ってないけど、顔が利くから、顔パスで大丈夫」。よく人々は冗談を言うが、まさか現実になるとは。お金が必要なことは、もちろん別問題だが。

 アリババのジャック・マー会長やeコマースを手がける京東の劉強東(Richard Liu)氏は、実店舗で顔認証支払いシステムのテストを行った。客はレジで顔認証をすれば、そのまま商品を持って帰ることができるというものだ。

 我々の「顔」は、今後ますます多くの機能を搭載することになるだろう。身分証明証、飛行機の搭乗券、列車の切符、通行許可証、ついには「支払いコード」の役割まで果たすことになる。今後はそういった重要書類をなくしても、慌てふためくこともなくなるかもしれない。

「未来には、世界一周旅行にも、パスポートや携帯電話さえも持たずに、『顔』だけで全世界を問題なく周遊できるようになる!」と、ジャック・マー(Jack Ma)氏は予言している。その「未来」が少しずつ近づいている。(c)東方新報/AFPBB News