【8月29日 CNS】ある日の午前、中国・河北省(Hebei)のケイ台市(Xingtai)経済開発区にある東南俎村(Dongnanzu)の小さな一室。26歳の周棟(Zhou Dong)さんはベッドに横たわっている。頭部でパソコンを操作しながら、ライブ配信について記者に説明してくれた。ライブ配信のタイトルは、「高位脊髄損傷だけど、最初からすべてやり直して生き続ける」。362人から602人へと、視聴者はどんどん増え続ける。

 視聴者の一人が周さんに話しかけた。「ケイ台市は涼しくなった?」。するとまた別の視聴者も、「兄弟、今日は配信早かったね」。

「彼らとはもうずっと長い付き合いなんだ」と周さんは言う。視聴者たちに新聞社の取材が来ていると伝えると、画面が祝福や激励の言葉で埋め尽くされた。

 周さんは7年前、19歳の時に自動車事故に遭い、高位脊髄損傷を負った。首から下の体は感覚を失い、今までとは別の人生をベッドの上で歩み始めなければならなかった。しかし周さんは、自暴自棄にはならなかった。ベッドに横たわったまま頭部でパソコンを操作し、「淘宝(タオバオ、TaoBao)」でオンラインショップを開店。洋服やタオルを売って得たわずかな収入で、自分の医療費などをまかなった。

 開店後も、動画でオンラインショップ経営の知識を勉強し、自分の店を真剣にデザインしていった。そうするうちに、チャットで周さんの生き方に感動したフォロワーがどんどん増えていき、たくさんの友達もできた。中には周さんと同じく体に障害がある人もおり、互いに励まし合うこともあった。山東省(Shandong)に住む、同じ障害がある友達がライブ配信をしていることを知った周さんは、自分もやってみようと思い立った。