【8月25日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がバージニア(Virginia)州で起きた白人至上主義者らと反対派との衝突事件について「双方に非がある」と発言したことを受け、米ユダヤ教指導者(ラビ)の連合会は、ユダヤ教の祝祭日前に恒例となっている大統領との電話会談をボイコットすると発表した。「憎悪発言を扇動している」とトランプ氏を非難している。

 ラビ連合会がユダヤ暦の新年「ロシュ・ハシャナ(Rosh Hashanah)」とユダヤ教で最も神聖な日「ヨム・キプール(Yom Kippur、大贖罪日)」の前に米大統領と行う電話会談は、党派に関係なく行われる伝統行事とされている。

 しかし、宗派や政治的背景の異なる複数のユダヤ教団体の代表でつくるラビ連合会は、バージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)で12日にネオナチや白人至上主義者らが開いた集会で起きた衝突事件をめぐるトランプ氏のあいまいな発言を考慮し、トランプ氏と電話会談する予定はないと発表した。

 トランプ大統領の「双方に非がある」との発言は、白人至上主義団体とカウンター(対抗)デモ隊を道徳的に等価扱いするものだとして激しい批判にさらされている。ラビ連合会は23日付けの声明で、「大統領の発言は反ユダヤ主義や人種差別、外国人嫌悪を主張する人々を支援するものだ」と批判。「トランプ大統領が、憎悪発言を扇動するという重大な過ちを犯したことを認識し、是正することを祈る」と述べている。

■「縦読み」で抗議の辞任

 この一件でトランプ大統領がネオナチを非難しなかったことを受け、米政府では高官や諮問機関委員の辞任が相次いでいる。23日に国務省の科学特使を辞任したダニエル・カメン(Daniel Kammen)氏は、各段落の頭文字を「縦読み」すると「IMPEACH(弾劾せよ)」となる辞表を提出した。

 また、委員全員が先週辞任した大統領諮問機関「芸術・人文科学委員会(PCAH)」の声明も、各段落の頭文字に「RESIST(抵抗せよ)」との反トランプ派のスローガンが隠されていた。(c)AFP