【8月24日 AFP】また地震に見舞われたイタリアで、まん延している違法建築が何百万人もの命を危険にさらしていると、専門家らが23日、改めて警鐘を鳴らした。

 21日にナポリ(Napoli)湾に浮かぶ人気観光地イスキア(Ischia)島で発生した地震では、家屋が倒壊して女性2人が犠牲になった。これを受けて、特に家屋の新築や改築の際に違法行為が横行していることを自省する声が強まっている。

 地質学者らは、マグニチュード(M)4.0といった比較的弱い地震で死者が出るのはあり得ないと訴え、また国の市民保護局は、同島の「多くの建造物が粗悪で違法な建材で建てられている」ことが原因だと指摘している。

 同島では過去30年間に住民から出された建築法違反の赦免要請が数万件に上っている。当局が違法建物を取り壊そうとして激しい怒りを買い、地元住民が機動隊と衝突する事態にも発生。こういった小競り合いがイタリア全土で日常茶飯事となっており、特により貧しい南部で目立っている。

 イタリア国家統計局(ISTAT)は昨年、「違法建築の明らかな増加」を警告。新築物件100軒中20軒近くが違法とみなされ、この数は南部の一部地域では100軒中60軒に上った。

 粗悪な建築資材や無許可の増築で危険とみなされた一部建物には解体命令が出ているが、実行されたのはわずか10%程度にとどまっている。