【8月27日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)は、自分たちが支配していた時代にはアヘンなどの原料であるケシの栽培を禁止していたが、今では戦火で荒廃した同国のヘロイン生産に支配的影響力を及ぼしているとみられ、反政府活動の資金源としているという。複数の当局者がAFPの取材に対し話した。

 国連(UN)によると、世界のアヘンの80%が生産されているアフガニスタンでは昨年、約4800トンのアヘンが生産され、30億ドル(約3300億円)相当の収入がもたらされた。ケシは安く簡単に栽培でき、アフガニスタンの農産物全体の半分を占めている。

 タリバンは長年、反政府活動の資金源として支配地域のケシ栽培農家から徴税してきたが、最近では自らの工場を運営し、採取したケシの乳液を精製して輸出用のモルヒネやヘロインを生産していると欧米の当局は懸念している。

 アフガニスタンの首都カブール(Kabul)で先ごろ報道陣に答えた米国務省のウィリアム・ブラウンフィールド(William Brownfield)次官補(国際麻薬・法執行担当)は「(タリバンは)採取したすべてを自分たちで加工していると、極めて強く確信している」と述べた。輸出前に自分たちで加工すれば、より大きな収入を得ることができるからだという。

 ケシの実に傷をつけるとにじみ出てくる乳液が凝固した生アヘンは、1キロおよそ163ドル(約1万8000円)で農家から買い取られる。それを精製して最終的につくられたヘロインをタリバンは地域市場で、1キロ2300~3500ドル(約25万~38万円)で売っている。ある専門家によると、こうしたヘロインは欧米へたどり着くころには、卸売価格でおよそ4万5000ドル(約490万円)になっている。

 この専門家によると、麻薬生産におけるタリバンの活動の拡大を示すように、アヘンをモルヒネに精製する段階で必要な化学物質の押収が増えている。また、モルヒネ自体の押収も増えており、昨年1年間で発見されたモルヒネは43トンだったのに比べ、今年は上半期だけで57トンが発見されている。それでも実際の生産量のわずか10%程度だろうと、この専門家は言う。