通報を受けた警察は、5月から同様の被害報告が15件もあったことに着目。客を装ってこの喫茶店を偵察しようとしたが、会員制を理由に店員から門前払いされた。だが、男性客を連れた若い女性が次々とこの店に入っていくのを見て、警察はこの事件は単なる消費トラブルではなく、背後にぼったくりバーのような詐欺グループが潜んでいるのではないかと疑った。

 江岸区分局警察は捜査チームを立ち上げ極秘捜査を開始。市内全域まで捜査範囲を広げたところ、278件もの同様の手口の事件が発覚し、同時に犯罪グループは安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)にも1軒ぼったくりバーを持っていることがわかった。

 警察は被害者から聞き取りをし、カードの支払い記録などを調査したところ、被害者が約500人、被害額は約300万元(約4900万円)に上ったことがわかった。犯行に関わっていたとみられるウィーチャットの番号や携帯番号から、13組のチャットグループを発見した。また、捜査によって、犯罪グループが武漢、安徽などの地域に13か所のアジトを持っていたことも判明した。

 約100人の捜査員が8月9日、13か所のアジトと喫茶店「特瑞西」に一斉に踏み込んだ。このうち、江岸区にあるアジトでは、10人ほどの上半身裸の男たちがパソコンに向かっていた。男たちは美女になりすまし、同時に何人もの男性とチャットをしていたという。また、喫茶店内には2組の男女がおり、調べたところ男性客2人はすでに、それぞれ6890元(約11万3000円)と、1800元(約2万9000円)支払った後だった。

 警察の調べによると、喫茶店で出されていた飲み物などは、実際の価格の数倍から数十倍の価格で提供されていた。店の奥には「警備員」が控えており、支払いを拒否する男性客を脅すなどして支払わせていたという。被害者からだまし取った金はその都度、「美女」としてターゲットを誘い出した男に30%、実際に会って店に連れてくることができた女に20~25%報酬として分配され、1人あたり毎月平均で5000元(約8万2300円)以上稼いでいたという。

 現在、リーダー格の2人を含む被疑者は警察に拘留されており、事件については引き続き調査中という。(c)CNS/JCM/AFPBB News