【8月14日 AFP】米国の歴史ある大学の街、バージニア(Virginia)州シャーロッツビル(Charlottesville)が、街の価値観とは相容れない白人至上主義団体や右翼の過激派団体によりニュースとなっている。

 先週末、白人至上主義者らの集団が、シャーロッツビルの平和な街に押し寄せ、反対派と衝突した。先月8日にも白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の行進があり、ここに彼らが集まるのは今年に入って2回目となった。

 集団の規模は前回よりもかなり大きく膨らんだ。中には、武装した者、他州から来た者もいた。大勢の白人至上主義者らが参加した集会は、最終的には暴動へと発展し、途中、人だかりに車が突入して1人が死亡、19人が負傷する事件も起きた。

 シャーロッツビルでは最近、南北戦争(American Civil War)で南部連合(Confederate States of America)を指揮したロバート・E・ リー(Robert E. Lee)将軍の像の撤去をめぐって物議を醸していた。今年2月、多くの人から奴隷制を美化していると指摘され、街が像の撤去を決めると、シャーロッツビルは差別主義者らが白人至上主義を訴え、抗議する場所へと一変した。

 極右団体とその反対派との違いはこれ以上ないほど鮮明だ。右翼を支持する人々は、迷彩服を着用し、南部連合の旗を掲げたピックアップトラックで国内各地からここを目指す。

 一方の反対派は、昨年の大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に敗れた民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏を支持した街の住民約80%と「訪問者たち」の憎悪に満ちたスローガンにほぼ共感することはない人々だ。

 ユダヤ人の市長と黒人の警察署長が存在するシャーロッツビルには、1819年にトーマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)大統領が創設した地元バージニア大学(University of Virginia)がある。街は、この大学に象徴されるようなオープンで寛容なイメージを目指している。

 地元住民らの話を聞けば、彼らがリー将軍の像をめぐる衝突を望んでいないことは明らかだ。南北戦争当時、シャーロッツビルで戦闘が行われることはなかった。ここの住民らは、今回もそうありたいと願っている。

 バージニア州以外の複数の南部の州でも、南北戦争に関連する像の扱いで対立が起きている。(c)AFP/Sébastien BLANC