【8月12日 AFP】米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア海事部門「アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)」は11日、人工衛星写真を提供する米デジタルグローブ(DigitalGlobe)が2012年12月と2017年1月に撮影した南シナ海(South China Sea)西沙諸島(パラセル諸島、Paracel Islands)のツリー島(Tree Island)の衛星写真をAFPに提供した。同島で埋め立てや建造物の建設が続いていることが分かるとしている。

 中国の王毅(Wang Yi)外相は7日、フィリピン・マニラ(Manila)で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の関連会合で報道陣に対し、中国は南シナ海での埋め立てを2年前に完了したと話していたが、AMTIは9日に衛星写真をウェブサイトに掲載し、王外相の発言は事実ではないと指摘していた。

 AMTIは、中国は2015年以降にツリー島で港のしゅんせつと約10ヘクタールの埋め立てを行い、最近になってヘリパッドと、風力と太陽光の複数の発電施設も完成させたとしている。また、昨年10月の台風で西沙諸島の別の2つの島と結んでいた埋め立て地が流されたため、中国は改めて埋め立てを行い、そこに新しい建物を造ったという。

 AMTIによると、南シナ海の大半に領有権を主張している中国政府は、南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)とパラセル諸島の岩礁に造成した人工島に軍用機やミサイルシステムを配備するなどの行動も続けている。(c)AFP