■「悲しいし、恥ずかしい…政府のせいで自分は今ここに」

 リオ市内では、特にコパカバーナ(Copacabana)やイパネマ(Ipanema)といった人気の観光地でホームレスの人々を目にすることが多い。

 市内セントロ地区の各通りでは、段ボールや毛布にくるまって睡眠をとるホームレスの姿を毎晩20人ほど確認できる。貧しい環境の出自がほとんどでアフリカ系も目立つ。また薬物依存症を患う人も少なくなく、精神的あるいは家庭関連で何らかの問題があるケースも多い。しかし、元々は路上で飲食物を販売していた露天商や、退職した元公務員など、そのバックグラウンドは様々だ。

 ギウソン・アウベスさん(69)は、X線技師としてリオの市営病院で35年間働いていた。しかし、年金の給付に遅れが生じたことをきっかけに、所持品を売り払うこととなり、借りていた部屋も手放さざるを得なくなった。

 彼がホームレスとなったのは、この取材の2か月前だ。この間に全財産が入っていたバッグを盗まれ、社会福祉課の職員にホームレスの保護施設へと案内された。市には同様のシェルターが64か所あり、合計2200人を収容できる。

 同年代の他の6人と部屋をシェアしているアウベスさんは、「悲しいし、恥ずかしい。長年一生懸命やってきたが、政府のせいで自分は今ここにいる」と現状を嘆いた。

 市の生活保護課で働くテレザ・ベルゲル(Teresa Bergher)さんは、「(リオの)状況は危機的」とAFPに語った。リオデジャネイロには、2014年サッカーW杯(2014 World Cup)と2016年の五輪大会をきっかけに人々が職を求めて押し寄せたのだ。