【8月10日 AFP】イエメン沖で9日から10日にかけ、アフリカからの移民が人身取引組織によってボートから海に投げ出される事件が2件発生し、海に落ちた計300人のうち少なくとも56人が水死、数十人が行方不明になっている。

 国際移住機関(IOM)によれば、生存者は全員がエチオピア国籍かソマリア国籍の移民で、イエメン南部シャブワ(Shabwa)のアラビア海(Arabian Sea)沿岸に自力でたどり着いた。

 2015年に始まったイエメン内戦では、これまでに8300人余りが死亡し、数百万人が住居を追われた。しかし疲弊した同国には、さらに北の豊かな湾岸諸国で働き口を探そうとする移民がアフリカ東部の「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれる地域から押し寄せ続けている。

 IOMの報道官がAPFに明らかにしたところによれば、10日には密航業者が180人のエチオピア人をボートから荒れる海に落とし、少なくとも6人が水死、13人が行方不明になった。被害者の大半が若者で、10歳代の人もいたとみられている。

 またIOMによれば、9日にもイエメン沖で、同国当局に逮捕されることを恐れた人身取引組織がソマリア人とエチオピア人の移民120人余りを無理やり海に落とし、少なくとも50人が死亡、22人が行方不明となっている。(c)AFP/Natacha YAZBECK