インド人ボクサー、負けた中国人対戦者にタイトル譲ると申し出 中印外交問題受け
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【8月7日 AFP】インドのボクサー、ビジェンデル・シン(Vijender Singh)選手(31)が5日、二つのタイトルをかけ挑んだ中国人選手との試合に勝利したものの、外交問題を考慮してチャンピオンベルトを相手選手に返す申し出を行った。インドと中国の間では、国境地帯での対立がこう着状態となっている。
五輪銅メダリストのシン選手は、インド・ムンバイ(Mumbai)で行われた試合で対戦した中国人のズルピカル・マイマイティアリ(Zulpikar Maimaitiali)選手に勝利した直後、ベルトを同選手に返すと申し出た。
シン選手は自身の勝利を「インドと中国の友好関係」にささげたいと話し、国境問題をめぐって深まった不信感の払しょくを呼びかけた。PTI通信(Press Trust of India)によると、「このベルトはズルピカルに返したい。国境での平和を望んでいる。これは平和のためのメッセージだ。一番重要なのはそれだ」とシン選手は語ったという。
この試合をめぐっては、シン選手が二つのタイトルを同時に手にすることへの期待が高まっていた。
遠隔地でありながら戦略的に重要なヒマラヤの高原をめぐるインドと中国のにらみ合いは1か月以上も続いている。この高原付近では、中国、インド、ブータンが国境を接しており、また高原につながる「ニワトリの首」と呼ばれる細長い地域はインド北東部と残りの国土をつないでいる。(c)AFP