【8月6日 AFP】第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)は5日、男子100メートル決勝が行われ、ジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)が、最後のレースを迎えたウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)を破り、優勝を飾った。

 これまでにドーピングによる2度の出場停止を受け、過去2大会ではボルトの後塵(こうじん)を拝して2度の銀メダルに終わっていたベテランのガトリンは、9秒92を記録して優勝するとブーイングを受けた。スタートで出遅れたボルトは9秒95で銅メダルを手にするのがやっとだった。2位には9秒94でクリスチャン・コールマン(Christian Coleman、米国)が入った。

 フィニッシュ直後、ガトリンと抱き合ったボルトは「勝利で終えることができなくて申し訳ない。とにかく、皆さんの声援に感謝したい。これまでと同様に素晴らしい経験だった」とコメントした。

 ドーピングの過去から「善玉対悪玉」とされたボルトとのライバル対決が行われた2012年のロンドン五輪と同じスタジアムで、ガトリンは大きなブーイングややじを浴びせられ、予選、準決勝と同様に手荒い歓迎を受けた。

 ガトリンは「自分のすべきことをした。自分のことを応援してくれる人は、ここにも本国にもいた。ボルトの最後のレースだった。これまで、いくつものレースで勝ったり、負けたりしてきた。素晴らしい機会だった。トラック上ではライバル関係だが、ウオームダウンのエリアでは冗談を飛ばして、良い時を過ごした」と語った。

 レース後、観客を黙らせるかのように閉じた唇に指を当てたガトリンは、その後ボルトに対して膝をついてお辞儀をした。

 ガトリンは、ボルトが「まず祝福してくれて、自分に対するブーイングは不当だと言ってくれた。彼は鼓舞してくれる存在だ」と振り返っている。(c)AFP