【8月4日 AFP】インドで女性が三つ編みにした髪の毛を切られる事件が相次ぎ、住民を恐怖に陥れている。魔術の介在を疑う声もあり、魔女と疑われた女性が集団暴行を受け死亡する事態に発展する中、インド警察当局は3日、捜査を行っていることを明らかにした。

 動機が不明な一連の事件の被害者はインド5州で少なくとも55人に上り、首都ニューデリー(New Delhi)郊外や近郊グルガオン(Gurgaon)などでも複数の被害が出ている。

 デリー(Delhi)首都圏に住む男性は、7月に母親が被害に遭ったと話した。「母の叫び声が聞こえたので駆け付けたら、気を失って床に倒れていた。切られた編み髪がすぐそばに放り出されていた」という。

 被害事例の多くは迷信深い農村部に集中しており、集団パニックを起こした村人たちが、原因は魔術ではないかと疑う騒ぎとなっている。悪霊退散を祈願する儀式を繰り返し開いている村や、女性を守るため地域のパトロールを始めた村もある。

 被害にあった女性たちは全員、体に危害を加えられてはおらず、所持品を盗まれた形跡もない。

 こうした中、世界遺産タージマハル(Taj Mahal)があることで有名な北部アグラ(Agra)で、魔女と決めつけられた女性(65)が集団暴行を受けて死亡する事件が起きた。アグラでは髪を切られた女性はいないが、群衆はこの女性が魔術を使って女性たちの髪を切ったと非難し、殴るけるの暴行を加えたという。

 地元の警察当局はAFPの取材に、殺害された女性は「近くの村内をぶらぶら歩いていたところを見とがめられ、暴行を受けた。何者かがこの女性を魔女呼ばわりし、髪が切られる事件に女性が関与していると主張した」と話した。

 デリー首都圏の警察当局が一連の事件を犯罪として捜査しているが、現在のところ手掛かりはつかめていないという。警察では魔術との関連を訴える声は一蹴しており、むしろ精神障害に起因する自作自演の事件か、模倣犯による襲撃が相次いた可能性を強く疑っている。(c)AFP