【8月10日 AFP】ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)市は昨年、ホテルの客室数をほぼ倍に増やしてリオデジャネイロ五輪に備えた。――しかし、スポーツファンが去った今、観光客は街からのチェックアウトを済ませてしまったようだ。

 五輪開催に先立ち、観光客の収容能力不足を批判されたリオ市は、五輪閉幕後も市の財政に貢献してくれることを見込み、精力的にベッド数を増やした。そして五輪が開催された2016年8月、ホテルの稼働率は76パーセントと上々の数字を記録した。

 しかし、リオ市が財政破たんの瀬戸際を漂い、市に犯罪があふれる中で、2017年6月の稼働率は37パーセントまで急落。2016年と2015年同月の50パーセントよりも低い数字に落ち込んだ。

 リオ市でホテル産業協会の会長を務めるアルフレド・ロペス(Alfredo Lopes)氏は「客室数を2009年の2万9000室から2016年に5万6000室まで増やしましたが、観光客を呼び込むことはできませんでした」と話している。

「今では誰もここのホテルを使おうとしません。ほとんどのホテルが1、2フロアしか開けず、稼働率はわずか12パーセントです。五輪のためだけに、何百万レアルも投資しようという巨大チェーンもありません」

 ブラジル接客食品連盟のアレクサンドレ・サンパイオ(Alexandre Sampaio)会長も「状況はかなり危機的です」と明かし、「ホテル業界は五輪当局の要求に応えるために巨額の投資を行い、近代的な施設を増やして国外ホテルチェーンの参入を促しました。今はその投資がわれわれの首を絞めている」と語った。

「近い将来、何とかしてある程度の稼働率を確保できなければ、多くのホテルが今年の後半には廃業の危機にさらされるでしょう」

 最も悲惨なのが、五輪公園が造られた市西部の広大な一帯だ。コパカバーナビーチ(Copacabana Beach)やコルコバードのキリスト像(Christ the Redeemer)といった観光名所へのアクセスが悪いこの地域は、4年に1度の祭典が終わった今、観光客にとって拠点にするメリットがほとんどない。

 一帯のスポーツ施設も、多くは半ば廃虚と化すか、ほとんど使われないかで、近隣の財政に貢献し、新しい投資を呼び込むなどおぼつかない。