■「ヴォーグ」ブランドを生き返らせるために

 ガーナ(Ghana)で生まれ、ロンドン(London)西部で育った5人兄弟のエニンフルは、16歳のときにモデルとしてスカウトされ、スタイリストのキャリアをスタートさせた。18歳で英国のユースカルチャー雑誌「i-D」に参加し、業界で最年少のファッションディレクターに。その後、米版「ヴォーグ」で働き、伊版「ヴォーグ」のコントリビューティングエディターとなる。2011年にはニューヨークで「W」マガジンのクリエイティブ&ファッションディレクターに就任した。

 エニンフルは長年、ファッションにおける広い多様性を追い求めており、2008年には伊版「ヴォーグ」で画期的な「オールブラック」な号を発表した。また女優のルピタ・ニョンゴ(Lupita Nyong'o)や、ラッパーからプロデューサーへと転身したディディ(Diddy)を含む黒人スターをフィーチャーした来年の「ピレリ(Pirelli)」カレンダーもスタイリング。さらに「私は移民(I am an immigrant)」と題された、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領による入国制限令に反対するショートフィルムの編成も支援し、81人のファッションアイコンたちを登場させている。

 ファッション界における貢献により大英帝国勲章(OBE)が授与された際は、ナオミ・キャンベルやケイト・モス(Kate Moss)が彼のために大きなパーティーを催した。「セレブリティやソーシャルメディアにおける姿勢を見ると、エニンフルは伝統的なファッション体制と次世代への架け橋のようだ」とファッションサイトの「ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion)」は昨年の記事で述べている。

 そして、こうも付け加える。「しかしながらエニンフルの一番の能力は、パワフルで記憶に残るイメージを生み出すことだ。それは若い世代の読者とフォロワーたちのためにも、『ヴォーグ』ブランドを生き返らせることに大いに役立つだろう」(c)AFP/Alice RITCHIE