【8月2日 AFP】植物の進化の道筋の中で最初に登場した花は、恐竜時代に咲いていた、同心円状に並ぶ花弁に似た器官を持つ両性花だったとの研究結果が発表された。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された研究論文によると、この花は中央に雄の生殖器官と雌の生殖器官の両方があり、その周囲に「花被片」と呼ばれる花弁に似た器官が複数の層を成して「輪生」していた。1つの層には花被片が3枚一組でついていたという。

 現存する植物792種から集められた史上最大規模の花の形質データベースに基づく今回の復元結果は、花の祖先がらせん状に並んだ「花弁」と生殖器官を持っていたとする科学的仮説に異を唱えている。

 現代の花の大半には、最も外側のがくと、その内側にある花弁、それに囲まれた雄性生殖器官(雄しべ)と、中央に位置する雌性生殖器官(心皮、雌しべ)の「輪生体」がある。

 花の祖先は、がくと花弁が分離していない「花被片」を持ち、これらが中央の生殖器官を取り囲んでいた可能性が高い。

 現代の花で花被片を持つものとしては、チューリップやユリなどがある。

 研究に参加したオーストリア・ウィーン大学(University of Vienna)の花の形態の専門家、マリア・フォン・バルタザール(Maria von Balthazar)氏は「今回の結果には、本当にわくわくする」と話す。「あらゆる被子植物(花を咲かせる植物)の初期進化における花の正確な想像図が得られたのは、今回の研究が初めてだ」

 花の色、におい、大きさなどはまだ不明だが、直径は1センチに満たなかったと推測される。

 陸生植物が祖先の水生植物から発生したのは約4億7000万年前と、専門家らは考えている。そこから30億年以上前、地球が誕生してから約10億年後に最初の生命が出現したと考えられている。