■樹木か低木

 顕花植物と球果植物を含む種族の種子植物が最初に出現したのは約3億2000万年前である可能性が高い。この時代には、陸と海には多様な動物が生息していたが、恐竜、哺乳類、鳥類などはまだ現れていなかった。

 知られている中で最古の顕花植物の化石は、約1億4000万年前のものだ。この時代に繁栄していた恐竜は、約6600万年前に絶滅した。

 原初の花はこれ以降、人が食物、医療やその他の目的で利用しているほぼあらゆる種類の植物を含む30万種以上の植物種に進化した。

 顕花植物は地球上の全植物の約90%を占めている。

 進化論を提唱した英国の自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)が1879年、地質時代の白亜紀に花の咲く植物が短期間で発生して多様性を拡大させたことを「忌まわしき謎」と表現したという話は有名だ。

 研究チームは今回、最後の共通祖先にまでさかのぼる詳細な進化系統樹を作成するために、DNAデータと広範な植物形質データベースを組み合わせて用いた。

 論文の共同執筆者で、仏パリ第11大学(University of Paris-Sud)のエルベ・ソケ(Herve Sauquet)氏は、AFPの取材に「花は、ただ1種類の植物(で)のみ咲いた。これがすべての現存する顕花植物の祖先種だ」と今回の研究について語った。「これがどのような種類の植物かという疑問について調べた人はそう多くないが、過去の研究によれば、それは小型の樹木か低木だった可能性が高い」

 今回の復元図は、これまでで最も花の祖先に近い姿を提示しているが、今後の研究で解明すべきことがまだ数多く残っていると、研究チームは強調している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux