【7月28日 AFP】心と体の性別が一致しないトランスジェンダー(性別越境者)の人々の米軍入隊禁止を表明したドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領。国防総省の不意を突く形で行われたツイッター(Twitter)投稿を受け、当局者らは一貫した対応を取るための調整に追われている。

 米軍ではここ数年の間で新的な人事改革が進められ、女性兵士の前線での戦闘任務が解禁されたほか、軍内での同性愛の公言を禁じる規定が撤廃された。トランプ大統領が示した新たな指針はこの流れを覆すもので、人権団体などはすでに訴訟の準備に取り掛かっている。

 トランプ大統領は今回のツイッター投稿に際し、国防総省とほとんど、あるいは全く調整を行わなかった。

 広報担当官らは26日、電話取材への返事を拒否し、非公開で対応に当たった。また、トランスジェンダーの人々の入隊禁止を具体的にどう実施するかについての声明が約束されたものの、声明はまだ出ていない。

 国防総省のダナ・ホワイト(Dana White)報道官は、同省が現在もホワイトハウス(White House)からの正式な指示待ち状態だと説明している。

 ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官は大統領のツイート投稿時に休暇を取っており、事前に決定を知らされていなかったとみられる。マーク・ミリー(Mark Milley)米陸軍参謀総長は、方針変更についてはニュースで初めて知ったと説明。「私が知る限り、マティス長官は書面での指示をまだ受け取っていない」と述べた。

 米軍で役務に就く130万人のうち、トランスジェンダーの人々の数はわずか1320~1万5000人と推計されている。人員の減少により一部の部隊に影響が出ることが予想されるほか、アシュトン・カーター(Ashton Carter)前国防長官を含む識者らは、差別的な政策を取ることで若者世代の入隊希望者が減る可能性があるとの懸念を表明している。