■毎年恒例の雨乞いの儀式

 大学生の兄がいるマサラナボさんは、学校が休みの期間中、モジャジスクルーフにある王宮に赴き、早期の伝統教育を受けている。

 モジャジ一族は、南半球の春にあたる時期に、雨乞いの儀式を執り行うのが伝統となっている。

 臨席は王族だけに限られている儀式は、5週にわたって5か所の異なる聖地で行われ、女王が雨乞いの祈りを主導する。

 もし全てが順調に進めば、最終日にはその季節で初の降雨がある。最近、相次ぐ厳しい干ばつに見舞われている南アフリカにとってはうれしいニュースとなるだろう。

 儀式では、特別な牛と醸造酒が用意され、土足厳禁の王宮の中庭で歌や踊りが奉納される。

 モジャジ王族協議会のジョン・マラッジ(John Malatji)氏によると、「(円形の中庭の真ん中に連れてこられた)動物(牛)に、その特別な醸造酒を飲ませる」という。

 その後、残った醸造酒は、若者や高齢者を含めた一族の間で分け合い、その後、雨乞いの祈りが唱えられる。

■「男性でもあり女性でもある」

 正式に女王の座に就いた後、マサラナボさんは未婚女性数人と縁組し、通常は夫が新妻の家族に対して支払う「ロボロ(婚資)」をその家族たちに支払う。

 結婚後、妻たちは他の王族関係者たちとの間で子どもをもうけ、生まれた子どもたちは、女王の実子とみなされる。女王自身も子どもをもうけることはできるが、相手は親族のみに限られ、その親族が誰であるか明かされることはない。

 モチェハ氏は、「女王は、男性でもあり女性でもある。そうして一族は拡大していくのです」と語った。(c)AFP/Susan NJANJI