【7月26日 AFP】サッカー元アルゼンチン代表のレジェンドで、いわゆる「神の手」ゴールでも有名なディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏が、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の採用を支持し、映像判定技術があれば問題のゴールは認められなかっただろうと話した。

 マラドーナ氏は、1986年のW杯メキシコ大会(1986 World Cup)準々決勝のイングランド戦で、手でボールを突いてゴールを決め、チームも2-1で勝利した。同氏は、1990年のイタリア大会でも、チームの勝敗を左右する場面で手を使ったことを認めている。

 マラドーナ氏は、国際サッカー連盟(FIFA)のウェブサイトで、「テクノロジーの使用を支持するときは、いつもそのことを考える。そしてもちろん、テクノロジーがあれば、あのゴールは認められなかっただろう」と語った。

「別の件もある。90年のW杯でも、自分は手を使ってボールをゴールライン上ではじいた。ソ連戦の話だ。幸運にも主審は見ていなかったし、当時はテクノロジーも使えなかった。しかし今では話が別だ」

 今ではゴールライン・テクノロジー(GLT)が世界各国で広く使用されており、一方でVARも、6月のコンフェデレーションズカップ(Confederations Cup 2017)でフル代表の国際大会では初めて採用された。

 VARはさまざまな面で成功を収め、いくつもの誤審が修正されるなどの成果が挙がった一方で、判定に時間がかかる、サポーターが混乱するといった批判も根強い。

 それでもマラドーナ氏は、「サッカーが後退するわけにはいかない。時間がかかるとか、不満が出るとかよく言われるが、それは誤解だ」と強調した。

「不満が出るのは、与えられるべきじゃないゴールが与えられたり、正当なゴールが認められなかったりしたときだ。テクノロジーは透明性と高い質をもたらし、リスクを取って攻撃的にプレーしようとするチームを助ける」

 そしてマラドーナ氏は、自身が関与したもの以外にも、テクノロジーがあれば違った結果になっていたかもしれない、物議を醸す場面があったと積極的に指摘した。

「無効になるのは86年大会の私のゴールだけじゃない。66年大会で、イングランドがゴールラインを越えていないシュートで優勝したのを忘れちゃならない」

「それに、2010年にイングランドに起こったこともそうだ。あのドイツ戦では、フランク・ランパード(Frank Lampard)のラインを割っていたシュートがゴールと認められなかった。イングランドはボールを握り、その流れで順当なゴールを決めたのに、あれでドイツが自信を取り戻し、試合の流れが完全に変わってしまった」 (c)AFP