【7月22日 AFP】米国務省は21日、米国人学生オットー・ワームビア(Otto Warmbier)氏が北朝鮮旅行中に拘束され、先月昏睡状態で釈放されて帰国後に死亡したことを受け、米国民の北朝鮮への渡航を禁止することを確認した。

 北朝鮮へのツアーを開催する旅行会社各社はこれに先立つ同日、米当局から北朝鮮への渡航禁止について通知されたことを明らかにしていた。

 米当局は以前から北朝鮮への渡航に厳しい警告を発していたが、今年6月にワームビア氏が死亡したことを受け、その姿勢をより厳しくした。

 バージニア大学(University of Virginia)の学生だったワームビア氏は、北朝鮮のホテルから政治宣伝ポスターを盗んだ罪で有罪判決を受け、北朝鮮国内で1年以上拘束された後、今年6月に原因不明の昏睡状態のままで釈放され、帰国後に死亡した。

 米国務省のヘザー・ノーアート(Heather Nauert)報道官は新たな渡航禁止措置は来週にも連邦行政命令集(Federal Register、官報)に掲載され、掲載の1か月後から実施されると述べた。

 ノーアート報道官は、「北朝鮮の法執行制度の下で(米国民の)逮捕および長期間の拘束の危険への懸念が高まったことにより、米国務長官は全米国民を対象にした北朝鮮への渡航や同国内の移動や通過に関する地理的渡航禁止を認可した」「(渡航禁止制度の)実施後は、北朝鮮への渡航や同国内の移動および通過について米国のパスポートは無効となる」と述べた。

 同報道官はまた「限定的な人道的あるいはその他の目的で」北朝鮮に渡航を希望する場合は「特別に認可されたパスポート」が必要となると述べ、「海外における米国民の安全と保護はわれわれ(米政府)の最優先事項の一つだ」と付け加えた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領はワームビア氏の死亡後、「罪のない人々が法の支配や人間としての基本的な良識に敬意を示さない政権の犠牲になる悲劇を防ぐ」ことを決意したと述べていた。(c)AFP/Susan Stumme, with Ben Dooley in Beijing