■香港民主派への影響

 劉氏の死は、特別行政区として半自治権を有している香港にも大きな悲しみをもたらした。香港の民主化勢力も、ますます強引さを増す中国政府との闘いを強いられている。

 劉氏が死亡した翌日には、香港・立法会(議会)の民主派議員4人の就任宣誓をめぐる司法審査で、香港の高等法院(高裁)が4人の議員資格を取り消す決定を下した。この審査には中国政府による異例の介入があった。また香港の独立を主張する別の議員2人も、宣誓無効ですでに議員資格を剥奪されている。

 習国家主席は今月初旬、英国からの香港返還20周年の記念式典に出席した際、中央政府の権威を脅かす挑戦は越えてはいけない一線で絶対に許さないと発言し、香港の独立を求める動きをけん制した。

 香港の民主化運動は、中国全体の変化を求める旧来の活動家と、香港だけのために闘うべきだとする若手活動家の間で分裂が起きており、方向性が揺れている。評論家は、議員4人の失職に伴う補欠選挙の結果によって、民主化の動きの勢いが示されると指摘している。

 民主派議員のエディー・チュー(Eddie Chu)氏は、民主化運動には明確なビジョンが必要だが、変化はすぐには訪れないことを受け入れるべきだと言う。

「劉暁波氏が自らの命をも犠牲にしながら耐え抜いたのは、自分が成功を勝ち取ると確信していたからではなく、自分は長い道のりの一部であると認識していたからだ」とチュー氏はAFPに語った。「香港もそれと同じようなものだろう。勝利の目標を特定の時期に定めるような話ではない」

(c)AFP/Joanna CHIU in BEIJING, and Aaron TAM and Elaine YU in HONG KONG