劉暁波氏の死で遠のく中国民主化の夢
このニュースをシェア
【7月21日 AFP】中国本土では政治活動がかつてなく抑圧され、香港(Hong Kong)では民主化勢力が脅威にさらされる中、獄中でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞した民主活動家、劉暁波(Liu Xiaobo)氏の死によって中国の反体制運動は重要なリーダーを失った。
2009年に中国の政治改革を求める「08憲章」を起草、流布したとして投獄されて以降、劉氏の声が世界に届くことはなかったが、同氏は中国の民主化運動と、共産党一党独裁への反対派に強力な影響を与え続けた。
収監されていた劉氏が13日に末期の肝臓がんで死亡すると、習近平(Xi Jinping)国家主席率いる政権下で無情な抑圧にさらされている反体制派の間には、怒りと失望が湧き起こると同時に、絶望感も広がった。
「中国当局が人の生と死をいとも簡単に操ることができるとなれば、人々は闘うことをいっそう恐れてしまう」と、活動家のス・ユートン(Su Yutong)氏は言う。同氏はNGOでの活動をめぐって度々拘束され、尋問を受け、その後ドイツに逃れた。「人々は、ノーベル平和賞受賞者でさえ獄中死する可能性があることを知ったのだ」
劉氏の支持者たちも当局から標的にされる恐れがある。特に劉氏の妻の劉霞(Liu Xia)氏は2010年以降、自宅軟禁の状態が続いている。
香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のウィリー・ラム(Willy Lam)教授(政治学)によると、劉氏の友人の多くはすでに24時間監視されているといい、反体制派周辺は全体的に「かなり士気が落ちている」という。
人権派弁護士で米プリンストン大学(Princeton University)客員研究員の滕彪(Teng Biao)氏は、中国政府と良好な関係を維持したいという各国政府の思惑の方が、国際社会からの支援を上回っていることも大きな打撃だと指摘する。「欧米社会が中国を怒らせることを避けたがるならば、希望はない」と滕氏はAFPに語った。