【7月19日 AFP】ポーランド南部の農村、ザリピエ(Zalipie)に暮らすダヌタ・ダイモン(Danuta Dymon)さん(70)。自ら花模様を描いた帽子と服を身に着けて道端に座り、日の出とともに自宅の塀に花の絵を描き始める。

 ダイモンさんは家の中にあるほぼ全てのもの──天井、壁、カーテン、枕、やかん、木製のスプーン、ボイラー、トイレにまで花模様を描くことで村中に知られている。

 ダイモンさんは好きで筆を持つようになったが、絵を描くのはダイモンさんだけではない。1世紀あまりにわたってザリピエの女性は──時には男性も──民衆芸術で家の内外を飾ってきた。

 2016年には日本や米国など遠方の国々から約2万5000人の観光客が人口700人のこの村を訪れ、トウモロコシやキャベツ、イチゴなどの畑の中に立つ小屋を飾る、鮮やかで明るい花模様を楽しんだ。

 地元のコミュニティーセンターによれば、19世紀末、ストーブ周辺のすすだらけになった壁を絵を描いて隠したことがこの伝統的な装飾の始まりだという。(c)AFP/Anna Maria Jakubek