【7月14日 AFP】米司法省は13日、依存性の高いオピオイド系鎮痛薬を過剰に処方した詐欺の疑いで、医師や看護師ら412人を訴追したと発表した。米国では鎮痛剤の依存症や過剰摂取による死者の急増が問題となっており、昨年は前年比19%超の増加となる6万人近くが死亡している。

 記者会見したジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)司法長官は「わが国史上最悪の薬禍」だと述べた。

 訴追された医師らは、違法な処方箋の処理手順を通じてオキシコドンなど依存性の高いオピオイド系鎮痛薬を大量に処方したとされる。また、依存症患者の治療プログラムなど実際には行っていない診療行為や、患者に不要な薬の処方によって不正請求を行い、米政府の公的医療保険メディケイド(Medicaid)やメディケア(Medicare)から診療報酬をだまし取った者もいるという。

 司法省によると、一連の詐欺的な不正請求がもたらした政府の損失額は、合わせて13億ドル(約1470億円)に上るという。

 たとえば、ミシガン(Michigan)州では医師らが不要なオピオイド系鎮痛薬を患者に処方し、診療報酬として1億6400万ドル(約186億円)を不正請求していた。テキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)のペインクリニックでは、毎日のように通院してくる薬物依存者や犯罪組織にヒドロコドンなど250万回分を違法提供していたという。

 また、フロリダ(Florida)州パームビーチ(Palm Beach)のリハビリ施設は、実際には行わなかった施術の報酬として5800万ドル(約66億円)を不正請求していたとされる。(c)AFP