■一族がしてきたことを知る機会

 インテルドナート氏は、「マフィア一族の跡継ぎであることは、義務を意味すると同時に、多大な経済的・社会的権力にアクセスできるという特権をも意味する」と語る。

 マフィアの少年らはブランドの服を着て、地元では恐れられたり尊敬を受けたりする。だが「体と脳がまだ発達段階にあるという面では彼らも他のティーンエイジャーと同じだ」と、インテルドナート氏は指摘する。

 個々のケースで違いはあるが、親族が殺されたり夜間の一斉検挙で警察に身柄を拘束されたりするのを見ると、彼らはまず「感情的に硬直」し、心に傷を負う。

 インテルドナート氏はいったん子どもたちとの関係が築かれると、彼らをアディオピッゾ(Addiopizzo)協会が組織する会合に連れて行く。同組織はマフィアの恐喝を糾弾する、犠牲者らによる草の根運動だ。

「警察がマフィアに潜入するように、われわれは反マフィアに潜入する」と、インテルドナート氏は冗談交じりに語った。子どもたちには、伝統的にマフィアの「敵」と見なされている人々の顔を実際に見て、マフィアがその人たちに何をしてきたかを知る機会が与えられるという。

 インテルドナート氏は、「血縁を切らせたり、子どもたちに父親を憎ませたりしたい者は誰もいない。だから私たちは『父親を愛さなければならないが、自分の未来は自分で選ばなければならない』と彼らには話している」と説明した。(c)AFP/Ella IDE