■金額の大きさとは無関係

 被験者には、お金の使い道を決めさせた後に質問に答えさせ、その間に脳スキャンを実施した。被験者への質問は、被験者自身の利益と、実験で決めた贈り物を受け取る人の利益をはかりに掛けるシナリオを想起させるものだった。

 研究チームは、利他的行為や社会的行動に関連する脳の部位、幸福感に関連する部位、意思決定に関与する部位の3か所で、脳活動を調べた。

 実験の結果、お金を分け与えると決めたグループの方が、約束通りの行動でなくても、自分で使い道を決めることのできたグループに比べて、自己申告時の幸福度が高いことを、研究チームは発見した。

 被験者が申告した幸福度は、使い道を約束した金額の大きさとは無関係だった。

 今回の結果について研究チームは、教育、政治、経済、公衆衛生などに示唆を与えると指摘。「気前の良さと幸福が、個人の充足感を高めるとともに、社会的成功を促進する可能性がある」と論文に記した。

 その一方で研究チームは、「日常生活においては、気前の良さと幸福の間の関連性が過小評価されているため、(他者のために)使うことの恩恵が見過ごされている」としている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux