【7月8日 AFP】中米エルサルバドルの裁判所は、レイプ被害を受けて妊娠した結果、赤ちゃんを死産した10代の少女に対し、殺人罪で禁錮30年の判決を言い渡した。現地の人工妊娠中絶の擁護団体「ACDATEE」が7日、発表した。

 昨年4月、当時18歳で妊娠8か月だった少女は、中部クスカトラン(Cuscatlan)にある自宅のトイレで出産した。少女はレイプされた結果、妊娠したが、このレイプ被害について家族が脅迫されていたために恐怖を感じ、警察に届け出ていなかった。また少女本人は出産するまで妊娠に気付いておらず、腹痛を覚えた後にトイレで出産に至った。

 被告の少女は赤ちゃんは死産だったと主張しているが、クスカトランのコフテペケ(Cojutepeque)の裁判所は5日、赤ちゃんを殺害したとして被告に有罪判決を下した。

 ACDATEEの広報担当者は、少女は「直接的な証拠なしに」有罪にされ、また裁判所は重要な法医学的証拠を考慮していないと非難した。また同団体は、赤ちゃんは胎内にいるときにすでに窒息していたとする病理学者の報告も引用した。一方、検察側は妊娠中に健診を受けなかったという点で被告には過失があると主張した。

 エルサルバドルではいかなる事情でも中絶は違法で、加重殺人に分類される。そのため、たとえ先天性の異常や妊娠合併症の危険性を理由とする中絶であっても最高40年の禁錮刑に処される可能性がある。権利活動家らによれば、流産をしたために禁錮刑を科された例もあるという。(c)AFP