【7月8日 AFP】女子テニスのダニエラ・ハンチュコバ(Daniela Hantuchova、スロバキア)が現役引退を表明し、トップ選手としてのキャリアを終えて未知の世界へ踏み出すことへの不安と期待について語った。

 現在34歳のハンチュコバは、スーパーモデル並みの容姿で大勢のファンを獲得し、かつては世界ランキングも5位まで浮上したものの、急激にトップ選手に上り詰めた重圧からみるみるうちにスランプに陥ってしまった。

 調子を取り戻して以降、ハンチュコバは混合ダブルスで四大大会(グランドスラム)を制した史上5人目の選手となったほか、2002年には女子の国別対抗戦フェドカップ(Fed Cup)で母国の優勝に貢献した。

 数週間前から現役引退の決意が報じられていたハンチュコバは7日、現役生活を離れて初めての日を迎え、「長い年月をかけ、たくさんのことを成し遂げてきました。ここでひと区切りつけて、新しい人生をスタートさせるときが来たと感じています」とコメントした。

 さらにハンチュコバは、現役最後となった今年5月のモロッコ・ラバト(Rabat)の大会を終えたあと、肋骨の疲労骨折を抱えていたと明かし、「この2か月間はほとんど何もできませんでした」と語った。

■これまでの生活パターンを破る

 テニス選手は年間で決められた大会スケジュールをこなし、世界中のホテルを行き来しながら次の試合、フライト、都市を駆け巡る生活に追われる。

 ハンチュコバは当初の不安とは裏腹に、これまでの生活パターンを破ることを楽しみにしていると話し、「未知の自由が本当に楽しみです。踏み出すのは少し怖かったですが、やってみたら最高でした」と語った。

「これまでは毎週やることが決まっていました。今は次になにが起きるのか分からず、その生活がとても気に入っています。これからは休日のプランやクリスマスの過ごし方など、これまでかなわなかったことを考えることができます。そうした小さなことが、とてもうれしいです」

 モナコ公国のモンテカルロ(Monte Carlo)に住んでいるハンチュコバは、将来設計として結婚して家族を持つことをはじめ、プロテイン食品のビジネスを拡大していくことや、始めたばかりのテレビでのテニスの仕事を続けていきたいとしている。

「仕事に関しては、なんでもやりたい」と話しつつも、指導者になることについて「可能性はゼロ」と話すハンチュコバは、テニス選手以外にクラシックのピアニストでもあり、もう一度鍵盤をたたくことを楽しみにしているという。

「時間があればもう一度ピアノを始めたいです。とても楽しんでいたのにやめてしまったことを後悔しているので。だから今は原点に戻る必要があります」 (c)AFP/Robin MILLARD