【7月4日 AFP】北朝鮮は4日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を伝える報道で、同国メディアにおける最も象徴的な存在と言える人物を起用した。70代の女性アナウンサー、リ・チュニ(Ri Chun-Hee)氏だ。

 北朝鮮の朝鮮中央テレビ(KCTV)は4日のニュースで、最近はほとんど姿を見せていなかったリ氏をスタジオに呼び戻した。リ氏はこれまで、北朝鮮の建国の父・金日成(Kim Il-Sung)国家主席や2代目の指導者・金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記らの死去を国民に伝え、また国連(UN)の度重なる制裁を招いている一連の核実験を報じてきた。

 黒とピンク色の伝統衣装を着用したリ氏は、中国国境に位置し、朝鮮民族のよりどころとされる白頭山(Mount Paektu)を背景に「北朝鮮の科学者らは、新たに開発した大陸間弾道ミサイルの発射実験を成功のうちに実施した」と述べ、その姿は興奮のために跳び上がらんばかりだった。そして北朝鮮の正式名称を用い、朝鮮人民共和国は「核兵器に加え、大変強力なICBMを保有する核強国であり、これがあれば世界のどこであっても攻撃できる」と述べた。さらに、ICBMは「朝鮮半島、そして周辺地域の平和と安全を誇り高く守るだろう」と続けた。

 この報道では、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が発射実験を見守ったとし、握りしめたこぶしを上げ、側近たちとたたえあう金委員長の画像や、実験を命ずる3日付の直筆の指令書の画像も放映された。指令書には「党中央部はICBMの実験発射を承認する。実験は7月4日午前9時に実施される」と書かれていた。発射は予定通り正確な時刻に行われたとみられる。(c)AFP