【7月2日 AFP】ロシアのサッカー界で尿サンプルの改ざんが横行していると報じられたことについて、ビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相は1日、薬物疑惑に関する質問がやむなら「ロシア舞踊を踊ってもいい」と皮肉を込めた発言をした。

 同国サッカー連合(RFS)の会長でもあるムトコ氏は、コンフェデレーションズカップ(Confederations Cup 2017)決勝のチリ対ドイツ戦の前日会見に出席。国内のドーピング問題について質問が飛ぶと、ロシアの選手は薬物検査を定期的に受けていると言い返し、9分近くにわたって話し続けた。

「われわれはドーピングを絶対に許容しないし、これまでも、そしてこれからも、国家ぐるみの組織的なドーピングを行ったことは一度もない」

「薬物を使った人間には刑事罰が科されており、独立した反ドーピング組織も有している。サンプルは他の国に送っていて、ここでは検査していない」

「欧州の大会(チャンピオンズリーグ〈UEFA Champions League〉とヨーロッパリーグ〈UEFA Europa League〉)に6チームを送り込み、大会前、大会中、大会後にサンプルを集めている。血液サンプルも集めている。それなのに、いつまでたってもこうした主張に対応しなくてはならない」

 さらにムトコ副首相は「私がみなさんの前でロシアの民族舞踊を踊れば、この件について質問するのをやめてくれるかな?」と激高した。

 ロシアW杯(2018 World Cup)開催まで残り1年となった中で、ロシアにはまたしても疑惑のスポットライトが当たっている。

 ロシアのドーピングを告発する衝撃の報告書を作成したリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏は、ドイツ公共放送ARDに対し、ロシア人サッカー選手の陽性の検体がクリーンな検体と取り替えられていたことを示す新たな証拠を手にしたと発言した。

 英国のメディアも、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)のロシア代表が国家ぐるみのドーピングの一端を担っていた可能性があるとして、国際サッカー連盟(FIFA)から調査を受けていると報じている。

 ムトコ氏の隣に座ったFIFAのジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長は、検査で陽性だったロシアの選手は一人もいなかったと語っている。

「ドーピングの問題は今も持ち上がり続けていて、われわれは世界反ドーピング機関(WADA)と連絡を取り合いながら、現在も調査を行っている」

「2014大会に出場した選手は全員、WADA公認のローザンヌ(Lausanne)の研究所でテストされた。結果はすべて陰性だった」 (c)AFP