【6月29日 AFPBB News】 千葉県四街道(Yotsukaido)市の住宅街で一際目立つピンク色の家のドアを開けると、そこは床から天井までぎっしりと積み上げられたハローキティの嵐。ファンタジーの世界の水先案内人よろしく、笑顔のおじさんが「どうぞー」と出迎える。

 サンリオ(Sanrio Company)の人気キャラクター「ハローキティ(Hello Kitty)」商品を1万点以上所有し、2016年にはギネス世界記録(Guinness World Records)に認定された世界一の「キティラー」は、なんと元警察官の男性、郡司政男(Masao Gunji)さん(67)。

 郡司さんがハローキティに心を奪われたきっかけは、現役警察官だった約30年前、同僚との慰安旅行先で買ったキーホルダーだった。一人暮らしの官舎から実家に引っ越しても、同じく元警察官だった父に隠れて収集。いつの間にか無数のアイテムが自室を占領するようになった。「キティちゃんの目が何か語りかけてくるようで。日々の癒やし、仕事に対する活力をいただいていた」と当時を振り返る。

 定年後は瞬く間に所有数が増え、4年前には自宅敷地内にピンクの「キティハウス」を建て増した。アイテムは、ぬいぐるみや文具、家電、衣料品など多岐にわたり、増築分を含め約3000万円をつぎ込んだ。「爆買いですよ。退職金がパー」とおどけるも、「このままではもったいない」と言う知人の勧めで、昨年11月にギネス記録に挑戦することに。制限時間内に審査ができるよう、審査会場に運んだ選りすぐり5250点の中から、「リボンの色は赤」とする認定上の規制を通った5169点が認められ、「最大のハローキティコレクション(Largest Collection of Hello Kitty Memorabilia)」のタイトルを獲得した。

 当初はあきれていた妻の良子(Yoshiko Gunji)さん(77)も、「自分が働いてきたことへのごほうびだからお金を使ってもいいんじゃない」と理解を示す。「今度は私たちが世の中に対してお返しする番」と言う妻の言葉を支えに、盲学校の子どもたちにコレクションを貸し出すなどの活動も。「キティに触れて、くちゃくちゃにしてもらって、私と一緒に共有してもらいたい」と郡司さんの夢は広がる。(c)AFPBB News