【6月29日 AFP】オウムに似たくちばしを持つ二足歩行の羽毛恐竜に、現生鳥類と共通の特徴がもう一つあったとする研究論文が28日、発表された。この羽毛恐竜は卵を抱き、ニワトリと同じくらいの温度に温めていたというのだ。

 学術誌「古生物学(Palaeontology)」に掲載された論文によると、ダチョウほどの大きさのこの恐竜は、鳥類の祖先とされる獣脚類のオビラプトルで、卵をふ化させるために35~40度に温めていた。これは、現代のニワトリの37.5度と同程度だという。

 中国とフランスの研究チームは、約1億年~6600万年前の白亜紀後期に生息していたオビラプトルの卵7個の殻と胚の骨の酸素原子を測定・分析した。

 論文の共同執筆者で、フランス国立科学研究センター(CNRS)の古生物学者、ロマン・アミオ(Romain Amiot)氏は、今回の分析法で抱卵中に胚形成が進む期間の温度が明らかになったと説明する。

■卵を温める

 恐竜が恒温動物か変温動物かは、科学の長年の謎となっている。

 2015年に発表された研究では、恐竜はそのどちらでもなく、両者の中間に位置づけられる存在だったことが示唆された。

 その研究によると、恐竜は体内で熱を発生させ、体温を上げることはできたが、現代の恒温動物のように体温を常に高いレベルに維持するのは不可能だったとされる。

 体温を周囲の気温よりも高くすることで極寒の環境でも卵をふ化させるペンギンのように、恐竜も高緯度の寒冷な気候に耐えることができたと考えられている。今回の研究でも、オビラプトルが「抱卵温度以上の体温を持っていた」ことが卵の分析を通じて示唆されたと、アミオ氏は指摘する。

 その一方で、能動的な抱卵行動は、恐竜が卵をふ化させる方法としては一般的ではなかったと思われるとしながら、「草食恐竜ディプロドクスが、自分が産んだ卵の上に座っている姿は想像し難い──卵を割るか、巣を壊すかするのは確実だ」と話した。

 全長約30メートルで体重が10トン以上に及んだディプロドクスは、かつて地球を闊歩(かっぽ)していた最大級の動物の一つだ。

 卵を土に埋めて温めていた恐竜や、腐敗が進むと熱を発する植物でできた巣に卵を入れる恐竜がいたことは、これまで見つかった化石から証拠として示されている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux