■ライバルとのラストラン、そして陸上界の未来

 現在30歳のボルトは、英ロンドン(London)での世界陸上では200メートルに出場するつもりはないと話す一方で、フィナーレの舞台として別の大会に出場する可能性を示唆した。

 ボルトは世界陸上について、「200メートルで走らないことは確かだ。ずっと聞かれているけど、そのつもりはない」とコメント。ロンドン大会後にレースに出場する可能性に話が及ぶと、「どうすべきかコーチ(グレン・ミルズ<Glen Mills>氏)と話し合っているところだ。世界陸上でシーズンを終了するかどうかについては、まだどうすべきか完全には決心していないんだ」と答えた。

「様子をみていくよ。世界陸上か、少なくとも開幕が近づくまでは、そのことについて考えるつもりはない」

 ロンドンでボルトのライバル候補の一人とみられているのは、かつてドーピング違反が発覚したジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)だ。35歳のガトリンは前週の全米選手権(2017 USATF Outdoor Championships)で男子100メートルを制すなど、キャリア終盤に花を咲かせている。

 ボルトは「彼が勝ったことに衝撃を受けた。若手選手も素晴らしい速さをみせていたからね。陸上界のベテラン選手として、自分たちは多くの経験とラウンドごとの勝ち抜き方を知っている。だけど、彼の優勝には本当に驚かされた。これでジャスティン・ガトリンが強力なライバルであることが示され、年を重ねるごとに侮れない存在になっていると分かった。彼とのレースはいつも楽しみにしている」と語った。

 競技を去る寂しさはあるものの、ボルトは国際陸上競技連盟(IAAF)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長をリーダーとして、陸上界のドーピング問題が解決に向かうことを確信している。

「この数年間、陸上界はたくさんの問題に直面している。しかし、最悪の時期を過ごしながら最高の時代に向かっていかなければならないと思う。コー会長は良くやっているし、全力で陸上界の透明性確保を目指している。独立したドーピングシステムも駆使しているから、今後はもっと検査がスムーズになるだろう」

「競技ももっと盛り上がっていくよ。若手選手が台頭してきているから、本当に抱えている問題はドーピングだけだ。この問題を規制できれば、陸上界はその分野で正しい方向に向かい、前進していくことができるはずだ。陸上界が安定した信頼感を得られれば、良い方向に向かっていけるし、他のスポーツとも対抗していける。時間をかけて改善されていくだろう」 (c)AFP/Luke PHILLIPS