【6月23日 AFP】ドイツ連邦議会(下院)は22日、当局が捜査のために「スカイプ(Skype)」などの対話アプリの暗号化された通信内容を監視できるようにする法案を可決した。

 欧州でイスラム過激派による襲撃事件が相次ぐ中、ドイツの議員らは「刑事手続きの実効性を高める」ための法案に賛成票を投じた。

 これにより、捜査当局は犯罪捜査などの目的でユーザーの携帯電話やパソコンにスパイウェアを仕込み、スカイプやワッツアップ(WhatsApp)のような人気アプリの暗号化されたデータにアクセスできるようになる。

 ドイツの連邦憲法裁判所はこれまで、テロ対策においてもこうした監視ツールの使用を認めてこなかった。

 この法案は、個人情報保護を尊重するドイツにとって重大な転機とみられている。同国は1930~40年代のナチス・ドイツ(Nazi)や旧東ドイツの共産党政権による独裁という負の歴史を背負っている。

 野党の左派党(Die Linke)や緑の党(Greens)は、監視ツールを無制限に拡張するものだとして反対票を投じた。

 こうした議論はドイツだけにとどまらない。最近テロの標的にされたフランスや英国でも、欧州におけるテロとの戦いを強化することを目的に、暗号化された通信サービスに関する法規制の整備を求める声が上がっている。(c)AFP