【6月22日 AFP】(更新、写真追加)イラク軍の指揮官は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が21日、同国北部モスル(Mosul)を象徴する建造物である傾いたミナレット(塔)と、隣接するヌーリ・モスク(Al-Nuri Mosque)を爆破したと発表した。同モスクは、IS最高指導者のアブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者が2014年に「カリフ制国家」の樹立を宣言した場所。

 一方でISは直後に傘下の通信社アマック(Amaq)を通じて声明を出し、ミナレットとモスクの破壊は米国の空爆によるものだったと主張している。

 モスル奪還作戦を指揮するアブドゥラミル・ヤララ(Abdulamir Yarallah)参謀中将は声明を出し、イラク軍部隊がモスル旧市街のヌーリ・モスクから50メートル以内まで進撃した際、ISが同モスクとミナレットを爆破したと発表。爆破によってISは「新たな歴史的な罪を犯した」と非難した。

 イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は声明で、爆破はISが「敗北を公式に宣言した」に等しいと述べた。

 米国主導の有志連合から支援を受けたイラク軍は4日前に旧市街への侵攻を開始。現地ではISの残党が最後の激しい抵抗を見せている。

 破壊されたモスクとミナレットはいずれもモスルを代表する建造物だった。バグダディ容疑者は約3年前の2014年7月、これまでに公の場に姿を見せた唯一の機会となった同モスクでの演説で、イラクとシリアにまたがる「カリフ制国家」の樹立を宣言。ISは以降、両国で数多くの史跡を破壊してきた。(c)AFP