■雪だるま作用

 必要なのは、特定の宇宙ごみが軌道領域内でいつ、どこで見つかるかに関する情報に限られ、企業秘密や軍事機密を漏らす必要はないとデンシング氏は説明した。

 宇宙ごみに関する世界規模のオープンなデータベースを整備することで、専門家らが衝突警戒情報を蓄積したり、宇宙機に回避行動を取らせる時間を確保したりすることが可能になると考えられる。

「雪だるま作用」と呼ばれる、宇宙ごみ同士が衝突することで危険な破片が増え続ける現象が進行している。

 2009年にロシアと米国の二つの人工衛星が秒速約11.7キロの速度で衝突、双方が大破して地球を取り巻くデブリの「雲」が形成された。

 この「雲」によって生じたとみられる細かな粒子が昨年8月、欧州のセンティネル1(Sentinel 1)衛星に衝突して7個の「破片」を太陽電池パネルから跳ね飛ばし、さらに多くのデブリを生成した。

 デンシング氏は「この問題が十分に理解されているか疑問だ」と述べ、「世界最大級の衛星保有国は、宇宙ごみの発生に関与した規模もより大きい国と考えられ、さらに将来の衝突を回避できれば最も大きな恩恵を受けることができる国でもあると思われる」と指摘した。

 宇宙開発先進諸国は近年、すべての宇宙機を運用終了から25年以内に安全な区域に移動しなければならないと規定するガイドラインを採択した。(c)AFP/Mariëtte Le Roux