【6月19日 AFP】サッカー界では数人のビッグネームがいまだに中国への移籍を取り沙汰されているが、移籍金に100パーセントの税を課すルール変更が19日にオープンとなる同国の移籍市場にどれほど影響するかが注目されている。

 ウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)やジエゴ・コスタ(Diego da Silva Costa)、ピエール・エメリク・オーバメヤン(Pierre-Emerick Aubameyang)といったスター選手は、ここ数シーズン移籍市場をにぎわせている中国スーパーリーグ(1部)行きを検討しているとうわさされている。

 上海上港(Shanghai SIPG)がブラジル代表のオスカル(Oscar dos Santos Emboaba Junior)を移籍金6000万ユーロ(約74億円)で獲得するなど、今年1月から2月の移籍市場で中国勢は総額3億8800万ユーロ(約455億円)を投じている。

 また、元アルゼンチン代表のFWカルロス・テベス(Carlos Tevez)は、中国に移籍したことによって世界最高給プレーヤーになった。

 しかし、5月に中国サッカー協会(CFA)はこれまで寛容だったルールを規制し、赤字のクラブに対しては移籍金に実質的に100パーセントの税を課す方針を定め、納められた税は政府系の基金に流れるものとした。

 また、現在同時にピッチに立つことができる外国人選手は3人までとなっているが、来季から各クラブは外国人選手と同じ数の23歳以下の中国人選手を起用しなければならなくなる。

 中国サッカーの専門家は、一連のルール変更によって各クラブは支出を削減するため、ルーニーのようなキャリアの終盤に差し掛かった選手を獲得する方針に立ち戻るだろうとみている。

 上海(Shanghai)にあるスポーツマーケティング投資会社のメールマン(Mailman)でクライアントマネジャーを務めるアンディー・ストロング(Andy Strong)氏は、「これから起きるであろうと私が考えているのは、ウェイン・ルーニーのような選手がたくさん中国にやって来るということだ。間違い無いと思う」と話している。

「ファビオ・カペッロ(Fabio Capello)監督は江蘇蘇寧(Jiangsu Suning)に到着したばかりで、ルーニーは移籍金なしで獲得できるようになる。彼は世界の大きな関心を引きつけるし、ネームバリューがある」

「こういった理由で、移籍の中心はキャリアの終わりが近いタイプの選手に立ち戻るだろう」

 また、ルール変更の副産物として中国のクラブは単に有名選手に大金を注ぎ込むのではなく、より価値の高いタレントを発掘するためのスカウトシステムを整えなければならなくなるだろうとストロング氏はみている。

 一方でストロング氏は、「財政面での打撃に備えるクラブが一つや二つあっても驚かない」とコメントし、税を覚悟の上で全盛期を迎えたビッグネームを獲得するクラブも出てくる可能性があると考えている。(c)AFP/Peter STEBBINGS