【6月14日 AFP】オーストラリア政府がパプアニューギニアに設置した難民収容施設で身体的および精神的な苦痛を受けたとして、施設に収容されていた難民申請者たちが賠償を求めて起こした集団訴訟で14日、オーストラリア政府が7000万豪ドル(約58億円)を支払うことで和解した。

 和解金は2012年からマヌス(Manus)島の施設に収容されていた1905人に支払われる。和解により、豪政府および施設を直接管理していた警備会社、トランスフィールド(Transfield)とG4Sは公開裁判は回避したことになる。

 原告側は施設の劣悪な環境が原因で心身ともに苦痛を受けたとして損害賠償を求めていた。さらにパプアニューギニアの最高裁判所が昨年、施設で難民申請者を収容することは違憲で違法だと判断したことを受け、不法監禁についても賠償を求めていた。

 原告側の法律事務所スレイター・アンド・ゴードン(Slater and Gordon)によると、今回の和解金は人権をめぐる集団訴訟における額としてはオーストラリア史上最高とみられる。被告側は訴訟費用2000万豪ドル(約16億円)超の支払いにも応じているという。

 南太平洋の島国ナウルの施設と共に、オーストラリア政府が管理する難民収容施設では、虐待や自傷行為、精神衛生上の問題がまん延しているとして、難民保護を訴える人びとや医療専門家らから多くの批判の声が上がっている。(c)AFP