【6月12日 東方新報】卓球の張本智和(Tomokazu Harimoto)選手は7日、日本代表選手たちと東京に戻ったが、翌日、東京の学校に登校するため実家の仙台には帰らなかった。母である張凌(Zhang Ling)さんは、寝る前にちゃんと学校の準備をするようにと電話で話したという。

「あの子がベスト8入りするなんて夢にも思いませんでした。1試合でも勝てるかどうか不安だったのに」と嬉しそうに話す凌さんだが、もともとは息子に自分と同じ道を歩ませるつもりはなかったという。

 当時、凌さん夫妻は仙台で卓球のコーチをしており、自然と息子も卓球を覚えていった。「普通に勉強して普通の道を歩んで欲しかった。スポーツ選手は本当に大変だから」と、自身もかつて代表選手だった凌さんは語った。

 張本選手は小さい頃は泣き虫で、試合に負けるとすぐ泣いた。「泣くくらいならやめれば」と言うと「ママ、僕泣かないから、やめたくない!」と返事をした。小学2年生の時にある選抜試合に参加したとき、彼は選ばれなかったことが悔しくて、その場で大声を上げて泣きじゃくった。「あの時は本当に恥ずかしかった」

 しかし彼は今まで一度たりとも「卓球を辞めたい」と口にしたことがないのだという。

「ハリバウアー」のポーズや「チョレイ」のかけ声なども目立つ選手だが、彼は卓球が好きなあまり試合中の自分の言動は無意識なのだと思う、と凌さんは話す。「まだ子供だからコントロールができない」

 張本選手は普段は目立つことがあまり得意ではなく、学芸会などでも裏方の役を取ってきては嬉しそうに凌さんに話したそうだ。学校では卓球の話も一切しないという。

 凌さん夫妻は今でも彼にはずっと卓球を続ける必要はないと思っているが、彼の思いを尊重している。「彼はただ卓球が大好きな子ども」「彼が辞めたいと言うまでは見守っていくつもり」と話す。(c)東方新報/AFPBB News