【6月9日 AFP】スーパーラグビー(Super Rugby)に参戦するブルーズ(Blues、ニュージーランド)の新しい「ハカ(Haka)」の中に首を切るジェスチャーが含まれていることが、英ロンドン(London)襲撃事件の被害者にとって不快であるという批判が起きたことを受け、振付師がそのハカについて弁明した。

 ブルーズは、7日に22-16で番狂わせを演じたブリティッシュ&アイリッシュライオンズ(British and Irish Lions、英国とアイルランドの選抜チーム)との一戦で、新しいハカを披露していた。

 4万人収容のイーデン・パーク(Eden Park)での試合前、ブルーズの選手はロンドンでの事件で犠牲になった人々への1分間の黙とうの直後、親指を首で横切るジェスチャーをみせた。

 これに対しては、ロンドンの犠牲者が刃物で首を切られていたとも伝えられる中で、不適切なタイミングだとの批判の声が上がった。

 そういった声を受けてマオリ文化の専門家で、ブルーズに振り付けを行ったウィリア・メルツァー(Whiria Meltzer)氏は、気分を害そうという意図はないと語った。

 元7人制ラグビーの選手でもあるメルツァー氏はフェイスブック(Facebook)上に、「あのハカは、ブリティッシュ&アイリッシュライオンズやその本国の家族の軽視を意図するものではありません。むしろ、選手や不幸にもお亡くなりになられた方々に感謝し、敬意を払うものです」と投稿した。

 またメルツァー氏は、問題のジェスチャーはマオリ文化の中で呼吸を象徴するものだとしている。

「胸あるいは首を横切る動きというのは、生命の最初の息吹に感謝を示すものです」

 ニュージーランド代表が2005年に導入した「カパ・オ・パンゴ(Kapa o Pango)」にも同様の動きがあり、同じ様な批判の声が上がったこともあるが、一方でオールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)が100年以上踊っている「カ・マテ(Ka Mate)」にはこういったジェスチャーは含まれていない。

 ハカは伝統的にオールブラックスのみが行う戦勝祈願の踊りだが、今回のブリティッシュ&アイリッシュライオンズの遠征に際し、スーパーラグビーに参戦するニュージーランドの5クラブがハカの披露を計画していた。(c)AFP