■感染したフリキスたち

 キューバ政府によると同国では1986年から2015年の間に3800人以上がAIDSで死亡している。また最新の統計では約2万人のHIV感染者がいる。

 一方、キューバに一体何人のフリキスたちがいて、その中の何人が自らHIVに感染したのかは分からない。

 ガットルノ氏は、AIDSの治療法がすぐに見つかるだろうと考えていた自分でHIVに感染したフリキスたちについて、「判断を誤った」と見なしており、「彼らは療養所に入ったが当然、多くはあっという間に死んでしまった」と語った。ガットルノ氏はそうしたフリキスのアドバイス役となり、リハーサル場所を見つけたり、療養所でのギグをアレンジしたりした。

 ゴベアさん自身も診療所でバンドを結成したが、彼らは病気のせいで人前で演奏することがかなわなかった。「1人が具合がいいときには、別の誰かが不調でベッドにいる。不調でベッドにいるということは、つまり死にそうだということだ」とゴベアさんは話した。