【5月21日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が就任後初の外遊でサウジアラビアを訪問した中、米政府は20日、イランの脅威に対抗するためサウジへの巨額の武器売却を発表した。

 米国がサウジに1100億ドル(約12兆円)の防衛用武器を売却したり軍事サービスを提供したりする。トランプ氏は8日間の初外遊でサウジアラビアのほかエルサレム(Jerusalem)とバチカン市国を訪問し、欧州の指導者らとの会談も行う予定。

 トランプ氏は、サウジのアデル・ジュベイル(Adel al-Jubeir)外相が3800億ドル(約42兆円)相当に及ぶと述べた数々の経済合意を称賛し、サルマン・ビン・アブドルアジズ(Salman bin Abdul-Aziz)国王との会談で「今日は素晴らしい日だ。米国に対するとてつもない投資だ」と述べた。

 外遊に同行したショーン・スパイサー(Sean Spicer)大統領報道官は今回の合意が「米国史上最大の武器輸出合意」だとツイッター(Twitter)で述べ、ほかにも2500億ドル(約28兆円)に及ぶ商業投資が行われると述べた。

 レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官は、今回の武器売却合意が「サウジアラビア政府が直面するイランからの悪しき影響と、サウジの国境付近に存在するイラン関連の脅威」に対抗してサウジ政府を支援するためのものだと述べた。

 ティラーソン国務長官は、イランの次期大統領として20日に再選された保守穏健派のハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領に、イランの「テロリズムのネットワーク」を撤廃し、弾道ミサイル試験をやめるよう促した。

 イスラム教スンニ派(Sunni)が主流のサウジとシーア派(Shiite)が主流のイランは、シリアやイエメンなど中東地域の紛争で対立している。特にサウジの隣国イエメンでは、サウジ率いる有志連合国がイランから支援されている反政府勢力「フーシ派(Huthi)」と戦闘を続けている。

 ティラーソン国務長官は、米国からサウジへの武器売却が、「王国(サウジ)の防衛能力を強化し、中東全域の反テロ作戦に貢献するものだ」と述べた。(c)AFP/Jerome Cartillier