リオの奴隷墓地博物館に閉鎖の危機、ブラジル
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■隠された歴史
ブラジルは米大陸で最後まで奴隷制があった国で、1888年に廃止されるまでに米国の10倍、計500万人近い奴隷が送り込まれた。この奴隷の大量移入が、ブラジルにアフリカ外で最大の黒人人口と、豊かな音楽的・文化的遺産をもたらした。だがその負の側面が語られることはめったになく、ましてや犠牲者の尊厳のための取り組みはさらに少ない。
リオの旧港地区はかつて奴隷売買の中心地だった。奴隷船が到着すると「新黒人」は検疫を受けさせられ、生存者は売られていった。しかしそれを思わせるものは消えてしまったか葬り去られ、専門家の間以外では歴史は失われてしまった。
新黒人博物館を訪れる学校や学者は多いが、一般社会にはほとんど知られておらず、リオの観光地図上の小さな一点に過ぎない。施設を3階建てに拡張する大掛かり計画は幻のように見える。
「ブラジル政府はこうした問題に関心はなく、持とうとしたこともない。今日の金融危機など問題ではない。こちらは昔からずっと続いている問題だ」と同博物館のアントニオ・カルロス・ロドリゲス(Antonio Carlos Rodrigues)事務局長は語った。ギマラエスさんは「人種差別だ」と言う。
ブラジル政府の財政が破綻寸前となった今年、博物館への助成金は突然カットされた。残っている資金で運営できるのはせいぜい7月までだ。明らかな解決方法の一つは入館料を徴収することだが、そんなことは考えられない、「入館料をとって犯罪行為を見せるなんて、おかしい」。
だが、博物館がどうなろうとも、ギマラエスさんが予期していなかった同居人たちを見捨てることは絶対にない。彼らはまるで「ゴミ」のように捨てられたのだ、とギマラエスさんは頬に伝わる涙をぬぐった。彼女にとって「彼らは子どもたち、この家の子どもたちです。私たちの家の」。(c)AFP/Sebastian Smith